2014/02/11 この恋が、脆く儚いものだとしても。【黄黒】

この恋が、脆く儚いものだとしても。【黄黒】
黒バス、投下。

シリアスぽいのが書きたくなったので。。
“――”の番外編としてでも、別物としてでも、どちらとでも読めます。
たぶん。
“――”は、シャンプーの話入れたら、路線が変わってしまって(笑)
なんか、なかなか軌道に戻せなくて苦労しています。


というか、使いたいセリフがあって、私が扱うキャラだと黒子が一番、合うかなと。。
(あとは、ナナリーとかユフィとか白スザクとか、ラクスとかカガリ・・・あ。意外といるかも知れない(笑))


ちなみに、私にしては珍しく一人称で頑張ってます。
ほんとは全部、一人称にして三人称の名詞は使いたくなかったのだけども。
さすがに名前すら出さないのも、と思って途中でちらり、と。
(喋り方とかで分かるとは思うけども)


*


書きたくなったのはね。
うん、まぁ、「私はお布団に入ったら一秒で寝られるよ!」という知人がいて、それになんて返したらいいのかな、と悩んだんですよねー。
その時は、無難に、「そうなんだー」と返したのですけども。

ちらりとよぎったのが、「悩みがなくていいね」という言葉。
前に誰かに言われたことがあって。
私って、外面がよくて(笑)
プライベートな知人には、弱みとか見せたくないし、見せないのですよ。
虚栄を張っているというのかな。
不幸と思われるも恵まれていると思われる方がいいじゃない?
んで、更にお嬢に見られることも多くて。
本当はそんなんじゃないのに、でもまぁ、あだ名で本当にお嬢とつけられた時もあったのですが、それはそれで嬉しかったかな。
苦労していない、悩みもなんにもないと見られているのか、そんな感じの言葉を言われる事って、それなりにあるのですよ。
でも、これって棘ありまくりですよね?
羨んでいるのか、嫉妬しているのか分かりませんが、悪意のある言葉だと思うのですよ。
少なくとも、私にはそう聞こえました。

だから、私自身としては、別に、意地悪したい相手でもないのに、危害を加えられてもいないのに、そんな棘のある言葉は返したくなかったのです。
じゃあ、なんて言葉を返すのが、いいのかな? と。
そうして、思いついたが、このSSの言葉です。
自分が言われたとしたら、言葉ひとつで、こんなにも感じ方が違うのかと。



珍しく、長くなってしまいました(笑)
だって、ピクシブってあとがき書きにくいんだもん。
反転表示できないし。

そろそろ本気で黒バスもサイト掲載しようかな。



では、以下からクリックして見てね☆ミ
(あ。そういえば、最後に影だけでもちろりと出した方がよかったかな?)





この恋が、脆く儚いものだとしても。【黄黒】


――――――彼が『特別』だと思ったのは、いつだっただろうか。



蒼い暗闇に輝く、夜空の星を見上げて、彼は息を吐いた。
街明かりに隠されても、輝く星というのはあるのだな、と関係ないことを思う。
凍えた息は、街灯を反射して、霧のように白く浮かび上がり、拡散していく。
手袋もしていない指先が、じんじんと冷えていく。
それでも、彼は、この場を立ち去れない。立ち去り難い。
周囲には、もう人すら通っていない。
帰宅を急ぐ人波が、彼の視界を通り過ぎていったのは、もうかなり前のことだ。

名も知らぬ公園に立ち尽くして。
まだ来ぬ想い人を思う。
ちろり、と視線が確かめるのは、待ち人が来るはずの公園の出入り口ではなくて。
今、懐に温めている大切なものだ。
これを渡したくて、彼はここに立ち尽くしていた。
寒さ凍える冬の季節。
もしかしたら、雪すらちらついてくるかも知れない。
それでも、彼は待っていた。
約束すらしていない待ち人を。



――――――ねぇ、来てよ、黒子っち。お願いだから、来て。






*



彼が『特別』だと思ったのは、いつだっただろうか。
たぶん、明確にそれが『恋』へと変わったのは、あの時だろう。
それは、ただ呼び名を変えただけの時よりも、より衝撃で。
ただ単に尊敬するだけよりも、より確かに、特別に感じた。



「どうしたの? 眠れないんスか?」

あれは、中学の夏合宿でのこと。
同い年のバスケ部の主将が用意した合宿所は、例年の合宿所とは違い、なんというか雰囲気がよくて。
部屋から続く中庭は、見事な日本庭園で。
情緒も分からぬ中学生でも、思わず感嘆してしまう程だった。
俺が通う中学校はバスケの強豪校で、毎年合宿するのは恒例となっていたが、ここまで待遇がよかったのは、きっと俺らの世代だけだろう。
なんでも彼の実家に連なるとかで安く泊まれたとの事だった。
そんな日本庭園も、今は障子で仕切られ、ほのかに月明かりが差し込むだけであった。
幾ら安く泊まれるといっても、そこは中学の合宿。
集団生活をプレーに生かすという建前のもと、本当は節約の為に、一部屋に5~6人が、一緒に寝泊まりしている。
俺らの部屋は、主力メンバーとして二つ名を掲げる者たち+αの6人。
俺は、なんとなく眠るのがもったいなくて、布団に横になったまま、その障子越しの月明かりを眺めていた。
決して、眠れなかったわけではない。
ハードな部活に、学業の学生生活、その他にモデルという仕事もしているのだ。
睡眠は、それらのリズムを守るためにも、大切な仕事の一つだと理解している。
どんな時でも寝れなければ、プロではないとの自負がある。
・・・だから、眠れなかったわけではない。

だけど、そのおかげで、隣の微かな身じろぎに気が付いた。
普段から影の薄い彼の、更に抑えたような身じろぎに気付いたのは、奇跡にも等しいだろう。
でも、奇跡なんかではないことは、俺にも分かっていた。
なぜなら、ずっと気になっていたからだ。
その時は、恋なんてしていなかった。
それでも彼と共有するこの時間を、この空気を、ただ寝て過ごしてしまうには勿体なくて。
もう少しの間、傍で感じていたいと思ってしまっていたのだ。

「・・・起こして、しまいましたか?」
「ううん? まだ寝てなかったスよ?」

申し訳なさそうに呟く彼に、俺はそろりと手を伸ばした。
彼は、それは俺の優しい嘘だとでも思ったのだろう。
そうですか。と、ふふ、と微笑むと、普段なら、暑苦しいです、とすげなく追い払うであろう手を触れるままにしてくれる。
俺はそれに調子に乗って、指と指を絡めるように握りしめた。
天井を向いたままの彼の横顔が、くすりと子供をあやすように笑うのを俺は見た。
だから、俺は、もう一度尋ねてみた。
彼が拒絶するなら、聞かない方がいいのかな、と思っていたけれども、どうやら、そこまで深刻な事ではないらしい。
それに、他人に話す方が、心が軽くなることもあると聞いたことがある。

「眠れないんスか?」
「・・・」

彼は、どう言葉にしたものかと逡巡しているかのようだった。
天井を向いている彼の瞳が泳いでいる。
だから、俺はおどけるように、

「俺なんか、一瞬で寝ちゃうっスよ。どこでもほいほい横になれば速攻っスよ!」

この言葉に対する大抵の人の反応はいつも決まっている。
嘲るように、呆れるように。あるいは苦笑するように。

“お前には悩みなんてなさそうだもんなー”
“ほんと悩みがなくて羨ましいよ”

明らかに棘を含む言葉に傷つかぬものがいるだろうか。
すぐに眠れる者に、悩みがないと誰が決めたのだろう。
大なり小なり悩みがないものが、いるというのだろうか。
それでも、悩み過ぎて眠れなくなるものが多いのもまた事実。
だから俺は、時々、こんなふうにおどけてみせる。
例え、呆れられてでも笑ってくれたならば。
ほんの少しでも、笑って、それで心が軽くなるならば。
悩んでも、躓いても、挫けても。
俺は、どこでも、いつでも、眠れるから。
寝ようと思えば、眠れるから。
眠ることで、また明日も頑張ろうと、癒されるから。
そんな俺は、たぶん、すごい単純なのだろう。

だから。


「しあわせ、なんですね」


――――――・・え?


優しい声が、囁いた。
天井を向いていた横顔は、いつの間にか、俺の方をまっすぐに見ていて。


「しあわせですね」


蕩けそうな優しい瞳が細められ、口元に微笑みを浮かべて、こちらを見ていた。
いつも変わらぬ表情が、この時ばかりは、はっきりと笑み崩れているのが分かった。
その表情が、笑みが、とても深く俺の―――黄瀬の心に、響いた。
たった一つの、言葉・・・言い方一つで、こうも変わるものなのか。
おどけたふりして、自分で自分を傷つけて、それでもいいと強がって笑って。
そのくせ抉れていた傷が、癒されていく。


「黒子っち・・」
「僕も、眠れないんじゃないんですよ」

静かな・・静かな声音が、黄瀬の心の奥底に澱んでいた何かを、癒していく。
それは何と例えたらいいのだろうか。
まるでコバルト・ブルーの海が、波に光を映しているかのような。
新緑の森に、光が差し込んできたかのような。
その煌めきが、心、惹かれる。

「僕は、いろいろと考えるのが好きで。考えるのをやめれば寝れるのですけれど」
――――――考えたいだけなんです。

ふふ、と微笑む姿は、とても無理しているようには見えなくて。

「考えるのか、好きなだけなんですよ」
――――――好きなんです、キミたちの事が。

その時の、微かな・・ほんとうに微かな呟きが、本当は何を意味しているかは黄瀬には分からなかった。
だけれども、なぜか熱いものが込み上げてきて、ひとつぶの涙を零したを覚えている。
こんなにも、言葉を思いやりで包める言い方があるのだと。
真綿で包むように、心を温める言葉があるのだと。

「黒子っち・・・」
――――――好きっス・・。

絡めた指を、さらに強く握りしめる。
それは今までにも何度も友達として告げた言葉だったけれども。
今までよりも、ずっとずっと深く意味をなしていて。

「ふふ。僕もですよ」

たぶん、友達として受けてくれたのであろう。
そう笑う彼の透明な笑顔を大事にしたくて。






そう、決意したのに。














*





泣かせてしまったね。
たくさん絶望させてしまったね。
失望だって、しただろう。

そこで、見捨てられても仕方なかったのに。
見捨ててくれてよかったのに。





それでも、彼は、あの時と同じように思いやってくれている。
我儘な俺を。傲慢な俺たちを。
見捨てることなく、救ってくれている。






それなのに。
だけれども、俺は。






それだけで飽き足らず、まだ欲しいと泣いている。
足りないと、もっともっとと。

――――――黒子っちが欲しい、と。



彼が欲しい。
友としてではない。
ただ一人の人として。
恋人として。














――――――黒子っち下さい!!




見つけた時、思わず叫んでいた言葉。
他にも言い方はあっただろう。
なのに、それはずっとずっと想い温めていた言葉。
心からの、真実の言葉。

言い方ひとつで言葉が変わると教えてくれた彼とは相反するけれども。
それが俺が、俺でいられる為に、真っ直ぐに向けられる言葉だったから。
彼自身が欲しい。
拗ねたり笑ったり怒ったり泣いたり。
普段はあまり感情を表さない彼だけれども。
例えどんな表情をしたとしても、まるごと受け入れたいから。
彼と出会えたことを感謝している。



だから。
――――――ねぇ?











“今日は、久々のオフ! 部活も仕事もなにもないんスよ! 会いたいなー。黒子っちの家の近くの公園にいるっスから”








あまりにも一方的なメール。
彼からは、「僕は部活があるからいけません」という味も素っ気もない返信を貰っている。
それでも、未練がある。
ほんの少しでも、話せないかと。
少しだけでも、姿を見れないかと。
二人きりで。

本当に、ただ姿を見たいだけなら、彼の学校へ押しかければいい。
もう既に何度か行ったこともあり、彼の部活仲間とも顔見知りになっている。
それなのに、今日は、なぜかそんな気になれなかった。
我儘にも、二人きりで会いたいと思ってしまった。
彼の、彼が大切にする仲間と一緒にいるところを見たくないと思ってしまった。
自分が知らぬ彼の日常を知っている彼らの内にいる彼を見たら、焼け付くように嫉妬してしまいそうだったから。

だって、渡したいものがあったから。
彼を想って、彼の為に選んだ、大切なプレゼント。




ちろり、ともう一度、懐を見る。
確かに、それは、そこにあった。





もう指先はかじかんで感覚がない。
それでも、会いたいと思ってしまったから。

夜空を見上げる。
冬の空気は澄んでいて、星は綺麗に瞬いている。






















――――――だから、ねぇ、来てよ、黒子っち。
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by ak_yuma | 2014-02-11 21:29 | SSあり

アスキラ・総一・スザルル LOVE


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