2014/06/15 タイトル未定。黒バスSS 1

ちょっと今、書き纏め中のもの~。
なかなか進まない・・・。

+追加+
おわったので、全部投下。
ぴくしぶにもあげてあります。
(しかし、タイトルは未定のままw)



警告あり。


伝えたいのは“頑張って”という思い。

不眠を主軸に置いているので、苦手な方は回れ右!

青桃。黒バスです。


以上をご了承の上、お進みくださいませ。




>>タイトル未定。黒バスSS




――――――どうしよう…怖いよ。


(心がざわざわする。
 苦しい。)


不安ばかりが胸をつく。
泣きそうになる。
泣いちゃいたい。

でも、まだ、だめだ。


「桃井さん、一緒に帰らない?」
「ごめんねー。今日は、ちょっと」


にっこりと。
努めて鮮やかに。

こんな訳も分からない不安を抱えている事など気付かれないように。
大学での友人へと片手をあげる。

「またねー」
「ばいばーい」


誰も彼もが気付かない。
お願い、気付かないで。(・・・気付いて。)
――――――誰か助けて。


(苦しい。苦しい。苦しい)


――――――心が痛い。
胸が苦しい。

ざわざわざわざわ、と。


何の予兆もなく、不安が胸を突く。
こんななんでもない日に。
なんでもない時を過ごして。

(なんで。どうして。)


きっと今日は、また眠れない。
――――――怖い。

眠れないこと。
それがまた、とてつもなく怖い。


“たかが一日。
 ちょっと眠れないくらいで。
 眠れないって言ったって、数時間は寝ているんだよ。”


そんな言葉。
幾つも聞いた。

そう言っている言葉。
何回も聞いた。


“そうだね。”


何でもない日常で。
他愛無いそんな『話』が出るたび、どきどきしながら笑って頷く。


(知らないくせに)
――――――知らないから。
・・・知らないで欲しい。


一日だけじゃない。
二日・三日・・・一週間。・・・・・・・一か月。

積み重ねるように、眠れない。
本当に全てが眠れていないという事は、ないのだろう。
ほんの少しは眠れているのだろう。
でも寝ている実感がない。
眠れているという気持ちがない。
・・・熟睡できない。

頭が朦朧とする。
眠い。・・・眠くて頭が痛いのに。

締め付けられるように痛む箇所がある。
眠ろうとする度、眠れそうになる度、頭のどこかが覚醒する。
きっと、そこに“気持ち”があるのだ。
寝ちゃだめだと、寝れないという思いが・・・想く重くなり積もっているのだ。
寝たいのに。眠りたいのに。



“そこ”を踏み越えることに葛藤があった。
だけど、もう、自分ではどうにもならなかった。



そして――――――。
――――――だから。






「さつき? 帰っているんだろ? 入るぞ」

重量のある足音が階段で響いたと思えば、何気ない声と共にノックすらなく部屋のドアが開く。
いつもいつも思う事だが、勝手知ったる幼馴染とは言え、女性の部屋に入る手順ではない。
万が一、着替えでもしていたらどうするのだろう。
・・・勿論、そんな時は、ドアが開く前に蹴りだしているが。

「だ・・だいぢゃん゛・・」
「うおっ。すげぇ声。・・・っ。――――――さつき?」

桃井は、ベッドの上で膝を抱えるように俯いていた顔をあげた。
その頬が濡れているのに気付いたのだろう。
青峰の驚いたような声が、すぐさま、すごく優しいものになる。
同じベッドの端に腰かけて、桃井の頭を慰めるように撫でてくる。
「どうした?」と、優しく伺うように瞳を合わせてくる。

「・・・わたし、今日、寝れない・・・」
「うん。一緒にいてやる」
「ざわざわするの。何にもなかったのに。不安なんかなかったのに」
「うん。眠れるまで、手を繋いでてやる」
「わたし・・・やっと、少し、少なくできるようになってきたのに」

――――――睡眠導入剤。睡眠薬。

心の不安を少しラクにして、眠らせてくれる魔法の薬。
でも、それで眠れるようになればなったで、それ自体が不安になる魔法。
一度頼ったら、なかなか抜けられない罠。
眠れないこと自体が怖くて恐くて、眠れた事に頼ってしまう。

「飲んじゃ、ダメなのか?」
「だって・・・っ」
「お医者さんは、もう、最低量だって言っていたんだろう?」
「うん。でも・・っ」
「眠れる方が大事なんじゃないのか? 眠れない方が怖いんだろう?」

幾夜も眠れぬ夜。
頭が締め付けられるように朦朧としても、眠れぬ恐怖。
自分が今、起きている事自体が、既に悪夢のようだった。
震える体を自分の腕で強く・・強く抱きしめる。

(こわい・・・恐い怖い。――――――もう、あんな思いはしたくない。)

「怖い・・・でも、こんな誰でも出来る事で、わたしは・・・っっ」
「さつきのせいじゃない。さつきは・・・悪くない」
――――――悪いのは、俺だ。
そう胸の内で呟いたのが分かる。深い自戒。
そうさせたのは、わたしだ。

「悪いよ。わたしが悪いの」
「ちがうっ。お前は悪くない。悪いのは・・っ」
「違うよ。誰もこんなふうになってない。悩みなんて誰にでもある。不安なんてたくさんある。でも、誰もこんなふうになっていない。私が悪

いの」
――――――テツくんだって。

(テツくんだって、こんなふうになっていない。)

悩みも、不安も、きっと似たようなものだっただろう。
ううん。もっと近くで、同じ場所に立っていただけ、余計に深かっただろう。
信頼していた光に、振り払われた手に、心が深く傷ついただろう。
それでも、黒子は強かった。
揺れ動く気持ちを制し、心を強く持ち、立ち向かった。
それ自体に立ち向かい、勝ちを遂げた。

「・・・テツ、呼ぶか?」
「いや。・・・知られたくない。」

こんな弱い自分。こんなに変な自分。
どうして、誰もが、普通にできる事ができないのだろう。
ただ眠るだけだ。
朝が来て、夜が来て。
人としての営みで、誰もが自然に、当たり前に、呼吸をするように、意識することなく、出来ることだ。


「・・・ついている。ずっとずっと、俺がついている。それじゃダメか?」
「ダメじゃない。・・・でも、だいちゃんに迷惑ばかりかけられない」
「迷惑なんかじゃ・・っ!」

桃井が震えるように呟けば、口調も荒く青峰が否定してくる。
荒げた声に、自分でも驚いたのだろう。
はっとしたように息を飲み、青峰が不安そうな顔で桃井を見てくる。

(大ちゃんに、こんな顔をさせているのは、わたしだ。)

この事もつらい。
桃井のこの件を知った後、青峰は、時々、桃井を腫物でも触るかのように接してくる。
大切にしてくれているのは分かる。
後悔しているのも分かる。
・・・でも、そんな顔をしてもらいたいわけではないのに。

(ごめんなさい。ごめんなさい。)

「ごめんね・・・」
「さつきが謝るようなことじゃない・・っ。俺が・・・っっ」
「わたし、悪い子だね」
「ちがうっ」
「大ちゃんに心配させて」
「俺のことなんか、どうでもいい」
「――――――お父さんも、お母さんにも、心配させても?」
「・・・っっ」
「こんな誰もが出来る事が出来なくて。眠ることなんかで、病院も・・・薬代も・・・っ」

苦しい。心が苦しい。
色んなことが圧し掛かってくる。
一回一回は、なんてことのない金額だろう。
でも、これが、いつまでも続くのだ。
ずっとずっと、生きている限り続くのだ。
眠れるようになるまで。・・・それこそ眠る必要がなくなるまで。
本当だったら必要のない費用を親に払わせて。心配させて。

「そんなの・・・っっ」

青峰の顔が泣きそうになる。
そんな顔をさせたいわけじゃないのに。
追いつめている。わたしの言葉が傷つけている。
まるで、全てこうなったのは、大ちゃんのせいだとでも言うように。

(ちがうよ。・・・違うの。)

最初は、ただの心配だった。
心配して、不安になって。
・・・何の手助けも出来ない自分に憤って。
そんなほんのちょっとの青春の苦い一ページになる筈だった。
どこから、違えてしまったのだろう。
何が違かったのだろう。

こんな事は、誰もが通過する事なのに。



「俺が――――――守る」
「・・・え?」
「今度は、俺が、さつきを守る。――――――お前が、俺を守ってくれたように」
「・・・なに、を・・」
――――――何を言っているのだろう。
わたしは何も守っていない。守りきれなかった。
大ちゃんの心も。周りからの圧力も。軋轢からも。

「守りたいんだ。それに、その・・ほら―――ええと、あれだ」
「うん?」

真剣な顔から一転。
今度は、何かに焦ったように、青峰の瞳も手も泳いでいる。

「俺だったら・・その、そのくらい何ともないし」
「・・・え?」
「だからっ。――――――『俺に勝てるのは俺だけだ』っ」
「は?」
「俺は、バスケで一番になる!」
「う、うん」
「稼ぐっ。お金がいっぱいだっ」
「・・・・・うん・・・?」
「お前が、それで安心して眠れるようになるなら、なんてことない金だっ」
「・・・・・・・???」

青峰が発言する度に、傾いだ桃井の首が、これ以上、傾けられないくらいに傾いた。
何を言いたいのか分からない。
だけれども、桃井を大切にしようとしてくれているのは伝わってくる。




「一緒にいよう」
――――――結婚、しよう。

そう聞こえた。

真摯な顔をして。
冗談ではないかのように。


「同情なら・・」
「同情じゃない」
「責任を感じているなら・・・」
「責任感でもない」




――――――お前が、大切だ。
好きだ。




真剣な声で。
真摯な眼差しで。

ひとことひとこと。区切って伝えられる思いは、とてもあたたかくて。



「大丈夫だ。ずっと、俺が傍にいる。眠れるまで手を繋いでいてやる」


このまま夜を眠れなくても。
朝になっても眠れなくても。

そう伝えてくるあたたかな心が、切なくなる。
心が震える程に、嬉しい。


「だいちゃ・・・っ」


優しく頭を撫でた手が、あやすように背中を撫でて。
また髪を撫で、頬へと手が添えられる。
重力に惹かれるように後ろへと頭が傾げられる。
唇を開きかけ。唇を閉ざす。


“  ”



その、紡がれる筈の言葉はなんだったのか。
近づいてくる顔に睫毛を震わせつつ、伏せた。
繋がった唇から、心が流れ込んでくる。
心が流れていく。





――――――大好き。






幾夜も眠れなくても。
何度、夜が来て、朝が来ても。

この、繋がった心が頑張ろうと思うから。





(わたし。ここにいて、いいんだ。)





そう思えた事が、素直に嬉しい。
ただの慰めじゃなく、本気で言ってくれているのが分かるから。
不器用なまでの心が、大事だから。




(大ちゃんとなら、頑張れる。)





わたしは頑張れる。
ずっと。きっと――――――・・・。









fin
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by ak_yuma | 2014-06-15 11:42 | SSあり

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