2006/06/11 清き移ろい刻の流れ(散華・第一章おまけ)

散華・第一章おまけ(仮タイトル) 改め 清き移ろい刻の流れ(散華・第一章おまけ) とタイトル変更しました。
正式アップはDARKの方で、近日中にします☆

ちょこちょこっと整理したりしましたら、第二章の方に入りたいと思います。
でも双愛の方も追い込みたいので。。。交互かな?



清き移ろい刻の流れ(散華・第一章おまけ)

その日は、爽やかな朝だった。
窓の外から差し込む光は、あくまで穏やかで、ふんわりとレースのカーテンを透かして踊っている。
小鳥のチチチという囀りも、心地よく響いている。
だから、キラの意識が覚醒しようという時、それはあくまで爽やかな一日の始まりであった筈だ。
現に、「おはよう」というカガリの声も実に爽やかに聞こえる。
それに答えるラクスの「おはようございます。カガリさん」という声も、低血圧な為、幾分茫洋としているが、やはり爽やかに聞こえる。
だけど。
なぜかそのやり取りに寒気がするのは気のせいだろうか?
背筋が凍るような、ひんやりとした空気が漂っているような気がする。
キラは、意識は目覚めたまま、目を開ける事が出来ずにその場で固まっていた。
今ここで、目を開け、起きている事を知られたら、何か恐ろしい事が起きる。
そんな予感にどうしても駆られてしまう。
--------と。
「おはよう、キラ」
息を詰めて、固唾を飲んでいたキラに気づいたのだろう。
わざとらしい程、朗らかなカガリの声が掛かる。
「おは・・よう」
ギクリと身を竦ませて、キラはゆっくりと瞳を開いた。
糊付けされたように瞼は頑固に拒んでいだが、それでも開けないわけにはいかない。
恐る恐る視線をカガリの方へと向ければ、爽やかな陽気と同じくらい爽やかな笑顔がそこにある。
杞憂だったか・・と、ほっと息を吐きそうにる。
・・・が。
(こあい・・)
瞳が笑ってないのである。
顔は確かに笑っている。
カガリにしては優雅と言える程に、爽やかな笑顔だ。
いや、そもそもこの「爽やかな」笑顔自体が怖い。
カガリが心の底から笑う時には大体が豪快だ。
裏も表もなく、あけっぴろげに太陽のように笑う。
-------それが。
たらり、とキラのこめかみを冷や汗が流れた。

「あ、あの・・カガリ・・・」
「で? 二人とも何しているんだ?」

キラが口を開こうとするのを遮るようにカガリが、にこにこと問い掛けて来た。
いよいよこれからが本番だぞ、というように殊更笑顔が強くなっている。

「いや・・別になにも・・・」

その笑顔に引きつりつつも、そう言い掛けて、キラは昨夜の状況を克明に思い出した。
確かラクスが来て・・・それで一緒に手を繋いで------------。
ゆっくりと横を向けば、ラクスが寝巻きを着乱し、肩も露わに首を傾げている。

「か・・カガリっ。ち、ちがうんだよ・・・っ」
「・・・へぇ?」

慌てて手を振り、釈明しようとカガリの方へと身を乗り出す。
だが、カガリの視線は冷たかった。
それでも言い訳だけは聞こうじゃないか、と腕を組み、キラを斜めに見てくる。

「だ、だから・・・っ」
「・・・『ただ寝てた』だけ?」
「うん、そうっ。そう!」
「--------そんな言い訳が通用するかっ。幼い子供じゃあるまいしっっ」

正に我が意を得たり、とキラが激しく首を縦に振るのに対し、
冷ややかさを通り越し、カガリは怒りの形相を表した。

「い、いや、ほんとに・・・っ」

あまりの怖さに、反論する声も小さくなり、キラは俯いてしまった。
カガリが怒るのも無理からぬ事だとは思うが、なんとかこの誤解だけは解かなくてはいけない。
確かに大人気なかったかも知れない。
分別を知る大人がしていい事でもない。
それにオーブの代表首長であるカガリの弟が、プラントの歌姫-----議長と同衾したなどと知れたら、それこそスキャンダルだろう。
オーブ政権としてもプラントの評議会としても黙っているとは思えない。
だが、それはそれだ。
今回の事は、いわば仲間内のちょっとした慰め合いだ。
ラクスに不埒な事など一切していない。
それは天に誓っても言える事だ。
幸い、ここはセキリティのしっかりしたアスハ邸の中で、外部には一切漏れはしない。
カガリさえ、納得してくれれば、全て丸く収まるのだ。
昨日のラクスの状態を知れば、カガリとてきっと納得してくれることだろう。


「あ、あのね、カガリっ。ほんとのほんとに・・・っ」

意を決して、キラは顔を上げた。
だが、カガリはその時はもうキラの方を向いていなかった。


「襲うなって行っただろう!?」
「あら、襲ってなどはいませんわ」

------------え!?
淡々と返される言葉に、「それって僕のセリフじゃ・・・」思わず、キラは呟いた。
普通、男と女が同衾して、責任を責められるのは、男のような気がする。
だが、目の前の二人はキラを無視し、勝手に話を進め始めていた。

「もうお前は、オーブには入れん! うちの箱息子を誑かされたらたまらんからなっ」
「あらあらあら。じゃあキラも、もう、オーブには帰れないのですね」
「なんでそうなる?!」
「キラはわたくしと一緒にプラントに来て下さるのですわ」
「はぁ!?」

勝ち誇ったように宣言するラクスに、キラは一瞬、遠くへ行きたくなった。
それこそもう誰もいないような離れ小島にただ一人。

「どういうことだよ!? キラっ」
「一緒に来て下さると仰いましたわよね?」


前門には般若のような形相のカガリ。
後門には穏やかだが、なぜか逆らうことなどできないラクス。


キラは答えに窮した。
確かに、ブラントに行くとは言った。
行くとは言ったけど-------------・・・。













遠くの方で、爽やかな朝に相応しい、爽やかな小鳥の囀りが聞こえた。
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by ak_yuma | 2006-06-11 21:57 | DARK・SSあり

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