2006年 03月 19日
2006/03/19 散華2
んで。またもや; ページを作っている時間がないので、直接日記へリンク(爆)
いや、まだ全然、普通な話ですから!(汗)
でも今後を考えて、パスする方はパスして下さいね☆
散華2
「キラは?」
「ちゃんと寝かせつけて来たよ」
ラクスの問いにカガリは苦笑気味に答えた。
寝かせつけるとは、まるでキラが小さな子供のようだ。
だが本当は数々の修羅場を潜り抜けてきた英雄。
更に現在は、このオーブの機構を守るための主要人物だ。
なくてはならない存在。
それは実質面でも精神面でも言えること。
なのに、今は、その彼を抜かさなくてはならない。
彼がいてはこの会合は意味を為さないのだ。
認識している現実が違う。
それではなんの話し合いもすることが出来ない。
「それで・・・どうですか?」
その問いを躊躇うようにラクスが口にする。
ラクスとしても答えは分かっているのだ。
だが、問い掛けなくてはならない。
一人一人、順々に顔を見回すが、誰もが声を出さない。
そして最後にイザークへと視線を向ければ、彼がその問いを纏めるように答えた。
「まだだ。まだ、何も見つかってはいない」
「そう・・・ですか」
それは分かりすぎる程、分かっていた応え。
もしも、何か少しでも進展があれば自分が知らされない筈はないのだ。
だが、ラクスはその答えにやはり落胆した。
もしかしたら・・・。
-------もしかしたら、自分がまだ知らない何かがあったのでは。
それは希望というよりも儚い願い。
期待して望むことなど何もない。
既に何度も打ち砕かれて来たのだから。
それでも。
それでも、もしかしたら---------・・・。
一筋の光明さえ見えない道を探し求める。
全ては誰の為か。
全ては自分の為ではないのか。
--------------------全ては。
「せめて肉片でも見つかれば、DNA鑑定でもしてはっきり分かるものを・・・っ」
そのラクスの言葉に、はっと息を詰める誰かがいる。
カガリは、ふぅ、と溜息を一つ吐き、メイリンの肩をぽんぽんと軽く叩いてやった。
揺らめく瞳。
頼りなく縋るように見詰めて来る瞳に、カガリは軽く笑みを向け。
「こわいよ、ラクス?」
苦笑と共にカガリがラクスに視線を向けると、ラクスはきゅっと唇を噛んで、微かに下を向いた。
そのラクスの肩には、イザークがそっと手を乗せる。
「イザ・・にいさま・・・」
親が、評議会メンバーという環境は、子供には少し淋しい面を与える。
だが、それを淋しいからと親を引き止められる程、コーディネイターというものは知能が低くはない。
淋しさを外への視点へと変換し、育っていく。
同じ評議会メンバーという繋がりの幼馴染は他にもディアッカや既に鬼籍となったニコルもいた。
だが、常に忙しい親に代わり、幼い頃から、兄妹のように育ってきた相手はイザークだった。
見える未来の違いから、道が分かたれた事もあったけど。
やはり、このような時には、一番の理解者だ。
イザークの手の温もりに心が少し落ち着く。
だが。
澱のように貯まって来た心は、既に限界だったようだ。
堪らなくなり、堰を切ったように流れていく言葉。
「わたしだったら許せませんわ。自分が想いを注いだ相手が自分を忘れるなど。それでは、自分が生きてきた意味がありませんもの」
それは、ずっとずっと我慢していた言葉。
それは、ずっとずっと耐えてきていた心。
「証が欲しいです。自分が確かにそこにいたという証が。悲しんで欲しいという意味ではありませんわ。一時は悲しんで、でもそこから立ち直って、記憶が薄れていくのなら構いません。でも、全く、自分の存在すら忘れられるなど・・・っっ」
ぽんぽんと優しくあやしてくれるイザークの手も今は効かない。
ラクスは唇を噛み締め、膝の上に揃えていた手でスカートをぎゅっと握り締めた。
柔らかいシフォンのスカートがくしゃくしゃと乱れる。
誰もが何も言葉を紡ぐ事が出来なかった。
それは今のラクスの心情そのままに表しているようで。
その実。
-------------ここにいる全ての者の心を表していた。
by ak_yuma
| 2006-03-19 21:35
| DARK・SSあり